今の派遣先が気に入ってるから、出産後もここで働きたいなあ。
産休前と同じ派遣先に復帰することってできるのかな?
派遣社員として妊娠すると、出産後のお仕事について不安になることもあると思います。
実際に私も、妊活を始めると決めた時「育休明けの仕事はどうなるんだろう?」という疑問が出てきました。
当時の派遣先は働きやすかったので、できれば育休明けも同じ派遣先で働きたいという思いがありました。
実は、以下の理由から産休前の派遣先で育休復帰することは厳しいです。
- 派遣社員が産休に入る時は「派遣先との契約終了」となる。
- 派遣先の会社が派遣社員を指定することは、労働者派遣法により禁止されている。
参考:派遣労働者の適正受け入れ 自主点検チェックリスト(解説資料編) -厚生労働省(PDFファイル/3頁目に記載)
でも、がんばり次第で産休前の派遣先に復帰できる可能性はあります。
なぜなら、私自身ができたからです。
私は派遣社員として産休・育休を取得し、育休明けに同じ派遣先の同じ部署・職場に復帰することができました。
この記事では、私が実践した「産休前と同じ派遣先で仕事復帰する方法」と、復帰後に感じたメリット・デメリットを解説します。
出産後、復帰する派遣先の選択について悩む派遣社員の参考になればうれしいです。
結論から言うと、産休前と同じ派遣先で仕事復帰することは叶わない可能性もありますが、努力してみる価値はあります。
派遣先をリセットして子育て中でも働きやすい派遣のお仕事を探す場合には、こちらの記事もご参考に。
派遣社員の産休・育休・仕事復帰について
まずはじめに、派遣社員が妊娠した時の産休・育休・仕事復帰について簡単に説明します。
- 産休(産前・産後休業)
産前・産後に雇用形態に関係なく無条件で休業できる制度。
派遣社員も取得可能。 - 育休(育児休業)
産休後、原則は子が1歳になるまで(最長で子が2歳になるまで)休業できる制度。
派遣社員も取得可能だが、以下の条件を満たす必要がある 。- 子が1歳6ヶ月になっても、同一の派遣会社と契約が続く見込みがある
- 派遣会社によっては、ある程度契約期間(1年以上など)が必要なこともある
【産休・育休経験あり】派遣社員の福利厚生は正社員並み!出産・育児サポートやママ支援も
- 仕事復帰
保育園などの子どもの預け先が決まれば、派遣会社に連絡して派遣先を決める段取りを進める。
派遣社員の保活については、こちらの記事もご参考に。
【派遣社員の失敗しない保活】第1希望の園に受かった派遣ママが徹底解説!【7つのポイント】
派遣社員が育休を取得した場合、産休前に契約していた派遣会社で引き続き契約し、派遣先を決定する必要があります。
本記事では、「産休前と同一の派遣会社」を通して仕事復帰することを前提に解説します。
派遣社員が産休前と同じ派遣先で仕事復帰した3つの手順
私が「産休前と同じ派遣先で仕事復帰した3つの手順」は、以下のとおりです。
- 必要とされる人材になる
- 妊娠中から派遣会社に相談しておく
- 派遣先の同僚とも情報共有をおこなう
必要とされる人材になる
まずは必要とされる人材にならないと、一旦契約終了した派遣社員をまた登用したいとは思われません。
必要とされる人材となるために、以下の3つを実行しました。
この3つは時給UPの交渉をするのにも役立つので、もし復帰できなかったとしてもやる意義は十分にあります。
関連記事:【派遣社員の昇給】成果をアピールして交渉しよう!昇給金額も公開
- 他の派遣社員がしていないことをする
- 真摯な勤務態度を心がける
- 以上2点の成果を記録し、資料を派遣会社に提出する
他の派遣社員がしていないことをする
「同じ職場の他の派遣社員がしていなくて、社員が助かると思うこと」を意識して毎日の業務を行います。
そうすることで他の派遣社員との差別化ができ、評価してもらえやすくなります。
求められる業務とは別に、プラスしてできることを考えるのがポイントです。
実践した具体例
私の仕事は営業事務で、営業社員のアシスタント業務です。
この社員さんたちを「依存させてみよう」くらいの気持ちで、自分にできることを考えて実行していきました。
具体的には、営業社員の代行処理を積極的に行いました。
- 社内外へメール送信
- 見積書・社内指示書作成
- 電話応対
これらは通常、社員から指示されてから行うものですが、指示される前にわかる範囲で対応しました。
もちろん社員のような専門知識や権限はないので、最終的には社員の了承を得て行います。
自ら考えて動いている姿勢を見せることが重要です。
具体的な内容は職種や業務内容等によるので、自分ができそうなことは何かを考えてみましょう。
真摯な勤務態度を心がける
当たり前のことですが、スキルがあっても勤務態度が悪いと派遣先からの印象が悪くなります。
具体的には、以下のことを心がけました。
- 忙しくて余裕がない時でも、好意的な態度をとる
- 緊急時に自分の仕事が増えることに対して、積極的な姿勢を見せる
実践した具体例
急きょ、同僚のベテラン派遣社員が契約終了となる事態が発生したことがあります。
派遣社員の補充はなかったので、「その人の受け持ちを誰が引き継ぐか」という問題に、できるだけ自分の仕事を増やす姿勢を見せました。
ふつうはできるだけ仕事を増やしたくないものなので、ここでも他の派遣社員と差別化ができました。
ただ、なんでも安請け合いして通常業務がこなせなくなるのは考えものです。
私は業務量が増えすぎたためにミスを頻発するようになってしまいました。
難しいですが、自分の力量と仕事量の見通しを立てることも重要です。
成果を記録し、資料を派遣会社に提出する
以上で解説したとおりにがんばってみても、派遣会社も派遣先もしっかり評価してくれるのかといえばそうとも限りません。
日ごろのがんばりは、業務で関わる同僚以外には伝わりづらいからです。
評価してもらうには、成果を客観的に説明できる資料が必要です。
そのためには数値を記載すると伝わりやすいです。
数値を入れることで、具体性が出て客観的に自分の成果を示すことができます。
実践した具体例
成果をアピールするために、以下のような書類を作成し、派遣会社に提出・派遣先にも共有してもらいました。
目標管理表はこちらの書式をダウンロードし、自分用に少しカスタムしました。
Microsoft Officeの目標管理表
- 大目標:大まかな目標
- 行動目標:数値化できる仕事内容
「目標」の項目があるので、数値のカウントとしてだけでなく「目標をしっかり持って行動に落とし込んでいる」ということも伝わります。
この目標管理表とは別に、成果ややってきたことを文章でまとめます。
「こんな表、作るのめんどくさい!」と思う場合は、目標管理表はなしでもいいので、必ず数値を入れて成果を文章化しましょう。
作成した書類は、面談の際に派遣会社に提出しました。
また、派遣会社から派遣先の上司・総務にも共有してもらいました。
このような資料を提出する派遣社員は珍しいようで、派遣会社と派遣先双方から好評でした。
数値を用いた客観的な成果を示すことで、「派遣先にとって有用な人材である」というアピールができます。
妊娠中から派遣会社に相談しておく
出産後のお仕事について、以下のことも早めに派遣会社に伝えておきましょう。
- 同じ派遣会社で復帰したい
派遣社員が育休を取得するためには、同一の派遣会社で復帰する意思を示しておく必要がある - できれば今の派遣先でまた働きたい
叶わない可能性が高いが、言っておくと派遣会社が協力してくれるかも
同じ派遣先で復帰するには、派遣会社の協力が不可欠です。
早めに派遣会社に相談しておくと、過去の事例を教えてもらえたり、派遣先との交渉を進めてもらえます。
実践した具体例
私の場合は、派遣会社に妊娠の報告をした際に、出産後のお仕事について前述の2点を伝えておきました。
派遣会社からは、当然ですが「同じ派遣先で復帰できるかどうかはわからない」と言われました。
でも、私と同じ派遣先の会社で部署は変わったけど同じ派遣先に育休復帰できた前例があることを教えてくれました。
「派遣先も評価してくれているので、育休後も戻ってきてほしいと思うはず。こちらもできるだけやってみます。」とも言ってもらえました。
この妊娠報告の時点で目標管理表を提出した後だったので、派遣会社・派遣先に評価してもらえている段階です。
必要とされる人材になっていたことで、同じ派遣先での復帰に対して、派遣会社も積極的になってくれました。
派遣先の同僚とも情報共有をおこなう
同じ派遣先で復帰するには、派遣先の同僚のバックアップがあるととても心強いです。
実際に派遣の求人を依頼するのは派遣先の上司や管理部門ですが、より身近な頼れる存在は、派遣先の同僚です。
産休前や休業中、自分の状況を以下のように同僚に伝えるようにしましょう。
- 産休前、派遣先の同僚にも復帰の意思を伝えておく
- 休業中、派遣先の同僚にも保活の進捗などを連絡する
【産休前】派遣先の同僚にも復帰の意思を伝えておく
派遣先の同僚には、派遣先の正社員と派遣社員どちらにも「できればここで仕事復帰したい」ということを話しておきましょう。
親しい人や、業務上の関わりが多い人だけでいいです。
「出産後のお仕事はどうするの?」といった質問は、同僚からはなかなか言い出せないことです。
「同じ派遣先に復帰できるかはわからないけれど、戻りたいという意思はある」というこを伝えておくと、以下のような効果があります。
- 「産休で契約終了になる人」ではなく「戻ってくるかもしれない人」になる
→お互い変に気を遣わずにすむ - 同僚に自分が復帰するイメージを持ってもらえる
→復帰に際して協力してもらえる可能性がある - 休業中も連絡を取りやすくなる
【休業中】派遣先の同僚にも保活の進捗などを連絡する
出産報告や保活の進捗などは、派遣会社への連絡が必須です。
派遣会社に加え、派遣先の同僚にも連絡するようにしましょう。
実際に、私は産休・育休中も、派遣先の正社員や派遣社員と連絡を取っていました。
保育園の申請をした時や、保育園決定の通知が届いた時も、派遣会社だけではなく派遣先の同僚にも連絡しました。
保活の進捗が同僚を通じて派遣先上司にまで届き、私の復帰時期に合わせて派遣社員の求人を出してくれる運びとなりました。
派遣社員増員の雰囲気があるかどうかなど、大まかな情報を教えてくれたことも助かりました。
同僚個人としても「戻ってきてほしい」と思ってくれているのが伝わり、とてもうれしく前向きな気持ちにもなれました。
産休前と同じ派遣先に仕事復帰するメリット
以上で解説したことを実践し、無事に産休前と同じ派遣先に復帰することができました。
そこで実際に感じたメリットは以下のとおりです。
- どんな仕事かわかっているからスムーズに仕事を再開できる
- 派遣先の人間関係や雰囲気がわかっているから安心して復帰できる
- 派遣先の暗黙のルールなどがわかっているから安心して復帰できる
どんな仕事かわかっている
産休前と同じ派遣先・同じ業務なら、どんな仕事かわかっているので即戦力になれます。
1年ほど仕事を離れていると、忘れてしまっていることや変わったこともありましたが、日常業務にはすぐに慣れていきました。
仕事の流れを把握できているので、スムーズに仕事を再開できました。
新しい派遣先だと、最初から仕事を覚える必要があります。
時短だと勤務時間が短いうえ、帰宅後は家事と育児に追われ、新しい仕事の復習やインプットが難しいです。
育休から復帰して新しい生活が始まるなかで、新しい仕事を覚えていく負担がなかったのは助かりました。
派遣先の人間関係や雰囲気がわかっている
産休前と同じ派遣先なら人間関係や雰囲気がわかっているので、安心して復帰できます。
私の場合は、産休に入る前と育休復帰後で派遣先の同僚にほぼ変化はありませんでした。
復帰の際には暖かく迎えてもらえ、自分の居場所があることに安心して業務を再開できました。
新しい派遣先だと、同僚との関係を最初から築いていく必要があります。
職場の実際の雰囲気も、働いてみないとわかりません。
私は新たな人間関係を作っていくことや、新しい環境は苦手に感じるので、そこに不安を感じずにすみました。
派遣先の暗黙のルールなどがわかっている
産休前と同じ派遣先なら、暗黙のルールなどの細かい部分もわかっています。
些細なことですが、人によっては重要に感じる部分です。
- 出勤時刻の何分前に来ていたらいいのか
- 退勤時刻になったら即退社していい雰囲気か
- 昼休憩はどこでどのように過ごすのか
- ひと息つける場所があるか
- トイレなど水回りに清潔感はあるか
新しい派遣先の場合、このようなことを事前に派遣会社に確認することは可能です。
でも実際のところは経験してみないとわからない部分もあります。
毎日のようにいる場所なので、こういったことも既にわかっていて安心でした。
産休前と同じ派遣先に仕事復帰するデメリット
産休前と同じ派遣先で仕事復帰することは、大変だったぶん大きなメリットを感じています。
でも以下のようなデメリットも感じました。
- 新しい派遣先に挑戦するチャンスがなくなる
- 復帰前に時給アップの交渉がしづらい
- 苦手な同僚との付き合いも続く
新しい派遣先に挑戦するチャンスがなくなる
新しい派遣先はスキルアップやより良い条件となるチャンスですが、同じ派遣先だとそうはいきません。
育休中、所属している派遣会社の「自宅から近く時給も高い求人」を見つけました。
しかし前の派遣先に戻れるかどうか派遣会社からの連絡待ちだったので、どうしようか迷っているうちに募集が終了してしまいました。
その求人に採用された場合、通勤時間は半分に削減でき時給も上がっていました。
同じ派遣先で復帰すると、より良い条件のお仕事に就く機会を失うということを実感しました。
復帰前に時給アップの交渉がしづらい
派遣先が変わるタイミングは、時給アップのチャンスです。
同じ派遣先で更新時に行われる昇給よりも、以下の理由で派遣先が変わる時の方が大幅な時給アップを期待できます。
- もともとの派遣先の時給より高めの求人を選択できる
- 派遣会社へ経験やスキルをアピールして時給交渉ができる
産休前と同じ派遣先に復帰する場合、時給で派遣先を決めるわけではないし、派遣先はその派遣社員のスキルもわかっているので、大幅な昇給は期待できません。
私の場合、産休に入る直前の契約更新時に昇給0円だったので、派遣会社から再交渉してもらった結果、以下の理由で昇給してくれていました。
「本来産休で契約終了が決まっている派遣社員の昇給はないが、ここ(派遣先)で職場復帰してくれる時にはアップしたこの時給で再開してもらおうと思っていた」
つまり職場復帰を見越して前倒しで昇給してくれていたようなものなので、「さらに昇給してほしい」とは言い出せませんでした。
でも復帰後のママの昇給は、様々な理由で難しいです。
実際に私が復帰から1年後の昇給が5円(時給)だった際に、派遣会社から確認した「昇給額が低くなった理由」は以下のとおりです。
- 子どものことで急な休みを頻発するので、同僚に負担をかけることが多かった
- 派遣先では「年間どれだけ休んだか」が評価基準となり、子どものことで急な休みが多いため不利になった
もし産休前と同じ派遣先に復帰できる場合、契約の前にダメもとで時給交渉してみることをおすすめします。
「せっかくもとの派遣先に戻れることになったのに、昇給のことまで言い出しづらい」と思うかもしれませんが、スキルを買ってもらう派遣社員にとって、昇給交渉は正当な権利です。
私は復帰後の昇給が少なかったこともあり、復帰前の昇給交渉をやっておいたらよかったと後悔しました。
苦手な同僚との付き合いも続く
職場には少なからず「自分と合わないな」という人はいるものですが、苦手なあの人がいるとわかっている職場に自ら復帰することになります。
私の派遣先にはいい人が多く、だからこそ戻りたいと思いましたが、やっぱり苦手な人もいます。
その人とは仕事で関わることもあるので、ある程度距離をおいて接するなど工夫して過ごしています。
まとめ 産休前の派遣先に復帰する努力は、やってみて損はなし!
私が実践し、成功した「産休前と同じ派遣先で仕事復帰した方法」を解説しました。
「必要とされる人材になる」という項目は、昇給にも繋がる可能性があるためやってみて損はないです。
出産後の復帰先について悩んでいる派遣社員の方に参考になれば、うれしいです。
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