正社員から派遣社員になると、待遇面で損に感じることってあるのかな?
派遣社員の福利厚生ってどうなってるんだろう?産休や育休はとれるのかな?
派遣社員は子育て中のママにはメリットの多い働き方です。
▼関連記事▼
派遣社員ママは仕事と育児が両立できる!メリット・デメリットを徹底解説
でも派遣社員の社会保険や産休・育休制度などの福利厚生がどうなっているのかは、気になるところですよね。
実際に私も正社員から派遣社員になる時には、「社会保険完備になるのかどうか」が疑問でした。
実は、派遣社員も正社員と同等の福利厚生を受けることができます。
なぜなら福利厚生を受けられるかどうかは、雇用形態ではなく就業条件で決まるからです。
私は中小企業正社員の営業事務として約6年間勤務後、現在は派遣社員になって7年になる一児のママです。
派遣社員として妊娠・出産・仕事復帰し、給付金や育休などの福利厚生を利用しました。
この記事では、派遣社員が受けられる福利厚生の解説と、実際に私が出産・育児に関わる福利厚生を利用した経験をご紹介します。
この記事を読むと、派遣社員がどんな条件で、どのような福利厚生を利用できるかがわかります。派遣社員ママとしての働き方の参考にしてみてください。
結論から言うと、派遣社員も正社員と同等の充実した福利厚生を受けることができます。
(就業時間などの条件つきの福利厚生もあり)
ママの「派遣のお仕事探し」は、こちらの記事をご参考に。
派遣社員の福利厚生は、派遣会社より提供される
まず初めに、派遣社員とは何か簡単に説明します。
派遣社員とは、就業先の会社ではなく「派遣会社」と雇用契約を結ぶ働き方です。
正社員やパート・アルバイト等の「直接雇用」ではなく「間接雇用」となります。
派遣社員の福利厚生や給与は、派遣会社により提供されます。
派遣社員として働く際には、登録する派遣会社の福利厚生を確認しておきましょう。
福利厚生で働きやすさや生活の充実度が整えられるため、安心して働くことができます。
福利厚生には、法律で定められている「法定福利厚生」と、会社が独自に設定する「法定外福利厚生」があります。
派遣社員も利用できる!法定福利厚生5つ
法定福利厚生は労働基準法で企業に義務付けられているので、雇用形態に関わらず派遣社員でも条件を満たせば利用できます。
法定福利厚生は、以下の5つです。
- 社会保険
- 産休
- 育休
- 有給休暇
- 健康診断
厚生労働省が出している派遣社員にあてたパンフレットにも、上記5点の法定福利厚生について記載があります。
派遣労働者の皆様へ-厚生労働省(PDFファイル)
以下に具体的な法定福利厚生の内容や条件、私の利用実績を記載します。
社会保険
「社会保険」とは、5つの保険の総称です。その種類と主な内容は以下の通り。
- 健康保険
→病気・けが・出産・死亡した時に必要な医療や給付金が受けられる - 厚生年金保険
→会社で働く人が加入する公的年金 - 介護保険
→40歳から加入し、65歳から介護サービスが受けられる - 雇用保険
→失業に備える公的保険 - 労災保険
→業務中や通勤中の負傷・疾病・障害・死亡に備える公的保険
「社会保険完備」とは、条件を満たせばこの全ての保険に加入できる(=加入が義務付けられる)ということです。
社会保険の加入条件
社会保険の加入は、正社員・派遣社員・アルバイト等の雇用形態に関係なく、それぞれに加入条件があります。
※社会保険のうち、労災保険は無条件で加入が義務付けられており、保険料は全額事業主負担です。
フルタイムや時短勤務の派遣社員なら、Aの条件を満たせる可能性は高いです。
実際に私は、フルタイム派遣社員だった頃も、6時間の時短勤務派遣社員の現在も加入できています。
週4日勤務など1週間の勤務日数を減らし、さらに時短勤務の場合は、Aの条件を満たすことは厳しくなります。その場合は、Bの条件を満たせば加入できます。
健康保険・厚生年金保険・介護保険の加入条件を満たせていれば、必然的に雇用保険の加入条件も満たすことができます。
そのため「社会保険完備」であるためには、健康保険・厚生年金保険・介護保険に加入する条件を満たせているかがキモとなります。
派遣社員ママの社会保険利用実績(妊娠・出産の給付金)
私は社会保険完備の状態で派遣社員として妊娠・出産を経験しました。
社会保険完備であれば、妊娠・出産に際してより多くの種類の給付金がもらえます。私の受給実績と合わせてご紹介します。
このうち、私は①出産育児一時金(42万円)・②出産手当金(約43万円)・③育児休業給付金(約127万円)を問題なく受給することができました。合計で約212万円もの給付金となります。
①出産育児一時金は、直接支払制度により出産費用から出産育児一時金を差し引いた自己負担額のみの支払いですみました。
これは②出産手当金の支払通知です。派遣会社から給与明細が郵便で届き、確認できました。(育休中なので給与はありません。)
控除項目の「健保還元」に金額の記載があります。
③合計5回分の育児休業給付金支給決定通知書です。発行者はハローワークですが、派遣会社を通して申請したので派遣会社から郵送で届きました。
派遣社員であっても、フルタイムで働く女性が妊娠・出産で得られる給付金は全て受給できました。
さらに産休・育休中は社会保険料の支払いが免除されるので、私の場合はひと月分約26,000円、産休・育休中の13ヶ月間で合計約34万円分の社会保険料の支払いが免除されました。
傷病手当金や高額医療費は、対象の症状や診断がなかったので申請していません。
「社会保険完備」ではなく夫の扶養内で働いている場合、出産手当金・育児休業給付金・傷病手当金は受給できません。
また育休には取得条件があるため、育児休業給付金の受給はその条件を満たす必要があります。詳しくは後述します。
派遣社員でも、妊娠出産のための給付金はもらえるんだね。
産前・産後休業(産休)
産休とは、働く女性が産前・産後雇用形態に関係なく無条件で休業できる制度です。
産休は産前休暇と産後休暇に分かれています。
派遣社員である私も問題なく産休を取得できました。
このご時世により、産前休暇期間よりも前倒しで休みに入らせてもらいましたが、前倒した日数分の出産手当金の給付は当然ありません。(有給休暇は使えました。)
産休前に派遣会社に確認したことをまとめた記事はこちら
派遣社員の妊娠報告のタイミングについて
妊娠報告は、できれば安定期に入ってからにしたいけど…いつ報告するのがいいのかな?
妊娠すると喜びも大きい反面、万が一のことがあれば…と妊娠報告のタイミングについて悩むこともあると思います。
派遣社員の妊娠報告について、一例として私の場合をお話します。
まず派遣会社には、妊娠を希望して妊活中であること・出産後の復帰意思があることを前もって伝えていました。
でも2度の初期流産を経験していたので、妊娠報告はできれば安定期(妊娠5ヶ月)に入ってからしたいと思っていました。
ところが体調変化があり急きょ自宅安静が必要になったので、結果的に妊娠初期である3か月の時に派遣会社へ報告。
今後も急に休むことが予想されたので、派遣会社に確認のうえ派遣先の上司にも報告しました。
妊娠報告のタイミングは派遣社員個人の自由ですが、結果的に派遣会社にも派遣先にも早めに報告しておいてよかったです。
急な体調不良からの休みに対して、理解してもらえやすくなるからです。
引き継ぎがまともにできていないのに産休より前倒して休みに入りたいことを相談した時も、快諾してくれました。体調に関して派遣先からはとても気を遣ってもらえました。
派遣会社や派遣先からしても、後任の派遣社員の手配など今後の見通しを立てやすくなります。
「出産後もできれば同じ派遣先で復帰したい」ということも、妊娠報告の際に派遣会社と派遣先両方に伝えていました。
「そのためにどうするか」を派遣会社とも派遣先とも相談することができ、結果として同じ派遣先で復帰することができました。
育児休業(育休)
産休の取得に条件はありませんが、育休の取得には1つだけ条件があります。
- 子が1歳6ヶ月になっても契約が続く見込みがある
→「育休明けも派遣会社との雇用契約を続ける」と意思表示しておく - 同じ派遣会社で1年以上雇用契約がある
→2022年4月より撤廃(ただし労使協定の締結により雇用期間1年未満の労働者は除外可)
参考:育児休業や介護休業を 有期雇用労働者について-厚生労働省(PDFファイル)
派遣会社に「出産後もここ(同じ派遣会社)で復帰したい!」と伝えておくだけでいいんだね。
ただ派遣会社によっては、労使協定により「1年以上の雇用契約」や「週の労働日数」など育休取得の条件を追加していることもあるため、派遣会社の就業規則を確認する必要があります。
私の場合は育休法改正前の出産でしたが、派遣会社の雇用契約が数年続いていたので育休も問題なく取得できました。
育休期間は、約8ヶ月で終了しました。産休と育休期間を合わせると、約12ヶ月間です。
保育園選考に受かりやすい0歳児クラスから娘を預けたいと思っており、保活を経て無事に保育園に入ることができたからです。
有給休暇
有給休暇は、雇用形態に関わらず取得できると法律で定められています。そのため、派遣社員やパート、アルバイトも有給休暇を利用できます。
有休の付与日数も、雇用形態関係なく法律で決まっています。
勤続年数(年) | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
付与日数(日) | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
勤続年数(年) | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
週4日勤務者の付与日数(日) | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
週3日勤務者の付与日数(日) | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 |
週2日勤務者の付与日数(日) | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
週1日勤務者の付与日数(日) | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 |
また産休・育休中も出勤率の算定には「出勤したもの」とみなされるので、有給休暇は通年どおり付与されます。
派遣社員の有給休暇は派遣会社から付与されますが、実際に休む時には派遣先の承認が必要です。
仕事の状況などを鑑みて派遣先上司の承認を得たうえで、派遣会社にも休みの報告をする必要があります。
派遣社員ママの有給休暇付与実績
以上で解説したとおりに、私も毎年有給休暇を付与されています。
実際に週5日のフルタイム出勤を半年間続けたら、派遣会社から有給休暇が10日付与されました。
育休中には勤続年数が5.5年になったので、18日の有給休暇が付与されました。
出産手当金が記載された給与明細に、育休中に付与された有給休暇日数も記載されていました。
これは育休から復帰後、子どもの体調不良で頻繁に休まざるを得ないママにとってはとてもありがたいですね。
おかげで復帰から1年半が経った現在も、有給休暇が残っています。
※産休・育休中は、実際に勤務はしていないので有給休暇を利用することはできません。
勤続年数が7.5年になった今年は、最大日数の20日が付与されました。
派遣社員は有休を使いやすい派遣先を選べる
派遣社員は、有休が使いやすかったり所定休日が多い派遣先を選ぶことができます。
大手企業やその子会社は、有休を制度として消化できるようなところも多いです。
完全週休二日制(土日)+祝日がお休みの派遣先であれば、保育園や小学校の休みや土日の行事にも対応できます。
お盆や年末年始の長期休暇の日数が多い派遣先であれば、自分の自由時間にあてたり家族との時間を多くとることもできます。
私の中小企業正社員時代と現在の派遣先のお休み状況を比較してみると、年間休日と有休消化日数で明らかに差があります。
中小企業の正社員 | 大企業子会社が派遣先の派遣社員 | |
休日 | 第2、4土曜日・日曜・祝日 | 完全週休2日制(土・日)・祝日 |
年間休日 | 100日以下 | 130日前後 |
お盆休み | 2日間 | 6日間 |
年末年始休み | 5日間 | 7日間 |
有給休暇の消化 | 年間2~3日。退職時約40日残 | 毎年ほぼ消化 |
所定休日が多く有休を使いやすい環境の派遣先を選ぶことで、プライベートを充実させることができます。
使えてこその有休だよね…!
健康診断
派遣会社には、派遣社員に健康診断を受けさせる法的義務があります。そのため、派遣社員でも毎年定期健康診断を受けることができます。
ただし、以下のことに注意が必要です。
- 派遣会社により健康診断を受けるのに条件がつく場合がある
→「月○時間の勤務をしていると健康診断を受けられる」等の規定があることも。 - 健康診断の料金は、無料ではなく「割引」としている派遣会社もある
- 健康診断受診中は無給のことがある
→就労日に健康診断を受けるなら欠勤か有休を利用。 - 交通費は支給されないことがある
私が所属している派遣会社では、以下のような待遇です。
- 基本は無料
- 派遣先がある敷地内で受診できるため、交通費不要
- 就業中に受診でき、時給も発生する
- バリウム検査・検便・マンモグラフィー検査(任意受診/年齢制限あり)も無料
バリウム検査の結果で引っかかり、かかりつけ医で胃カメラ検査を受けた分は、全額自己負担でした。
育児するには親の健康も大事。
健康診断はちゃんと受けたいね!
派遣社員も利用できる!法定外福利厚生の例
法定外福利厚生は、企業が独自に定める福利厚生で、以下のようなものがあります。
- 交通費支給
- スキルアップ支援
- 出産・育児支援
- レジャー施設や宿泊施設などの割引
- 社員食堂・休憩室・更衣室などの利用
交通費支給
派遣社員は交通費が支給されないことが一般的でしたが、2020年4月の法改正により派遣社員にも交通費が支給されるようになりました。
交通費の支給には、各派遣会社で就業時間の条件や金額の上限が定められています。
交通費が発生しないよう、「派遣先の近隣に住む派遣社員を優先的に派遣する」という方針の派遣会社もあります。
車やバイク通勤の場合は、ガソリン代が支給されるところもあるみたい。
スキルアップ支援
派遣社員に対して、研修やセミナーを開催してスキルアップ支援をしてくれる派遣会社もあります。
ビジネスマナーやOAスキル等の基本的なものから、専門職へのスキルアップ講座、資格取得支援等、派遣会社により様々な支援があります。
私が所属している派遣会社では、自宅でeラーニングが受講でき、期間限定で受講中は時給が発生するというものがありました。
また、英会話塾などの外部のスクールと提携し、割引で受講できるというサービスもあります。
このご時世、eラーニング受講は助かるね!
出産・育児サポート
派遣会社によっては、手厚い出産育児支援があります。働くママにとってはありがたいですね。
このような子育て世帯を応援するようなサポートが充実している会社は、正社員・派遣社員に関わらずあまり見かけないのでもっと広まってほしいですね。
私が利用できたサービスをご紹介します。
こちらは派遣会社ではなく健康保険組合からのサービスですが、「赤ちゃんとママ社」の育児専門誌が2年間無料購読できます。子どもの月齢に合った内容が届き、役立ちました。
育児専門誌と一緒に、離乳食の本の配布もありました。離乳食の本はたくさんありどれを買うか迷うので、とても助かりました。
こういうサービスがあると、ママに寄り添ってくれてる感じがしてうれしい。
レジャー施設や宿泊施設等の割引
ホテルや旅館等の宿泊施設、レストラン、遊園地、マッサージ等を、優待価格で利用できます。
私が所属する派遣会社では、「WELBOX」という福利厚生サービスが利用できます。宿泊費や交通費の割引やポイント還元が受けられます。
プライベートでも福利厚生が利用できるのはありがたいね!
社員食堂・休憩室・更衣室等の利用
食堂・休憩室・更衣室等の利用状況だけは、派遣会社ではなく派遣先により利用状況が異なります。
私が今まで経験した派遣先では、食堂・休憩室・更衣室全て社員と同様に利用できました。
ウォーターサーバーや自動販売機、売店の利用も同様です。
ここで差別するような派遣先なら契約更新したくない。
まとめ 派遣社員も充実した福利厚生で安心して働ける
派遣社員の福利厚生と、実際に利用したものをご紹介しました。
- 派遣社員は派遣会社の福利厚生を利用できる
- 派遣社員が利用できる法定福利厚生5つ
- 社会保険(加入条件あり)
- 産休(条件なし)
- 育休(取得条件あり)
- 有給休暇(付与条件あり)
- 健康診断(派遣会社により規定あり)
- 派遣社員が利用できる法定外福利厚生(例)
- 交通費支給(派遣会社により支給条件あり)
- スキルアップ支援
- 出産・育児支援
- レジャー・宿泊施設割引
- 社員食堂・休憩室・更衣室などの利用
利用するのに条件がある福利厚生もありますが、それは「派遣社員だから」ではなく、正社員にも同様の条件が課せられています。
つまり福利厚生を利用するのに「派遣社員は不利」ではないということです。
派遣社員も、正社員と同等の福利厚生を受けることができるのです。
近年、労働者派遣法や育児・介護休業法の改正もあり、派遣社員がより働き続けやすくなるように変化しています。
実際に私は7年間派遣社員をやってきて、「福利厚生において派遣社員だから損をした」と感じたことはありません。
「正社員と派遣社員で待遇に差はあるの?」「派遣社員でも産休・育休はとれるの?」と不安を感じている方の参考になればうれしいです。
コメント